笑えないレベルに達した北のサイバー攻撃能力 制裁なし 金正恩氏の高笑いが聞こえる (2/4ページ)

 

 今年5月に世界150カ国で発生したデータ復旧と引き換えに金銭を要求するサイバーテロなど今年に入り、北朝鮮の関与が疑われる攻撃が相次いで発生している。だが、これらの攻撃に対する制裁や報復は明らかになっていない。

 元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓殖大客員研究員の高永●(=吉を2つヨコに並べる)(コ・ヨンチョル)氏は「国際社会が北朝鮮の犯行と完全に断定することは難しく、制裁などにつなげられない。それを良いことに北朝鮮が攻撃を連発している」と指摘。「サイバー能力が世界で最も高いとされる米国の報道機関ですら、北朝鮮のサイバー能力に危機感を感じ始めている」と分析した。

 インフラ攻撃が焦点

 北朝鮮のサイバー能力に対する専門家の評価は、前述のブキャナン氏の意見とほぼ一致する。「昔は大したことはなかったが、今は油断ならない」という内容だ。また、複数の専門家に聞くと、北朝鮮の現在のサイバー部隊の実力を「米中露、イスラエルに続き5位」と高く評価する意見が多い。

 ただ、電力や鉄道などインフラを標的にしたサイバー攻撃を引き起こすまでの能力が北朝鮮にあるか否かについては、意見が分かれる。インフラへの攻撃は人命に関わる大惨事につながる恐れが高く、最悪の被害をもたらすサイバーテロだ。一方で、各国のインフラのセキュリティーは強固に守られており、電力会社などに致命的な被害を与えるのは「サイバーテロの中で最も難易度が高い」(セキュリティー企業)といわれる。

 米情報セキュリティー企業「ファイア・アイ」は10月10日、北朝鮮とみられるハッカー集団が9月下旬、米電力会社のシステムにサイバー攻撃を仕掛けていたと発表した。ただ、攻撃は水際で食い止められ、被害は発生しなかった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(10月12日付)は、サイバーセキュリティーの専門家の一部が、北朝鮮がこのようなインフラ攻撃を成功させるだけの実力を持っていることについて懐疑的だと報じた。同紙のインタビューで、ファイア・アイのブライス・ボーランド最高技術責任者(アジア太平洋地域担当)は、北朝鮮が「インフラのシステムに到達するまでの進歩はずっと見られていない」と指摘。

「もしかしたら手の内を隠しているかもしれないが、実際に混乱を起こせるだけの能力を持てば北朝鮮はそうするだろう」と強調した。

「楽観的すぎる」と反対する声も