次々つぶされた晴れ舞台 中国が恐れる北崩壊「レッドライン」は米の軍事行動 (2/3ページ)


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 米シンクタンク、ノーチラス研究所のピーター・ヘイズ氏も同じ考えだ。同氏は米紙ニューヨーク・タイムズに、「金正恩氏は、習氏がワシントンに対し影響力を持つ人物だと知っている。北朝鮮と米国の話し合いの仲介役になってほしいとプレッシャーをかけているのではないか」と語っている。

 つまり、相次ぐ北朝鮮の挑発行為は、中国が米朝協議実現のために動かなければ、習氏の顔に泥を塗り続けるという“脅し”の可能性があるということだ。

 トランプ米政権からは「北朝鮮を制裁せよ」と強い圧力をかけられ、米朝の板挟みの状態になっているのが今の習政権なのだ。

 そして習氏に圧力を加えているのは、米朝だけではない。

 北朝鮮による6回目の核実験から一夜明けた4日。

 中国外務省の記者会見で、韓国の記者が「なぜ3日の外務省声明には6カ国協議の語句がないのか」と質問した。

 中国はこれまで、北朝鮮が核実験を強行するたびに、北朝鮮や関係各国に自制を求めると同時に、北朝鮮の核問題を話し合う「6カ国協議」による問題解決の重要性を強調してきた。それが今回の声明では、その「6カ国協議」のくだりが欠落していたのだ。

 想定外の質問を浴びせられた耿爽報道官は、苦笑いしながら答えた。「(声明を)詳細に読み込んでいますね」。そして「6カ国協議に関する中国側の立場に変化はない」と続けた。

 しかし、中国の公式声明からキーワードが理由なく消えることはあり得ない。

 中国の外交関係者によれば、中国が危機回避に向けて水面下で働きかけているのは、米朝に仲介役の中国を交えた新たな枠組みによる対話だという。だが、まだ実現するに至らず、米朝がそれぞれの思惑で習近平政権に圧力をかけている。

中国にとって最悪のシナリオ