【中国を読む】企業の債務急拡大と投資ブーム 日本総合研究所・関辰一 (3/3ページ)

 ◆熱狂的投機に懸念

 企業は委託融資のほか、銀行理財商品や信託商品などで資金を運用している。この3種類の運用は高い運用利回りを得られるため、企業の間で人気が集まっている。16年末時点で合計残高はGDPの80%に達する。

 このほか、不動産市場、銅や鉄鉱石、ニンニクや落花生などの商品市場、白酒(中国の蒸留酒)やワイン、絵画やゴルフ会員権などでも投機的な動きがみられる。13年6月3日付の中国国営新華社通信の記事によると、役人とのコネクションを深めるためや転売するために、多くの上場企業がゴルフ会員権に投資している。15年2月15日付の新華社通信の記事によると、上海郊外のゴルフ場である「東庄海岸高爾夫倶楽部」の会員権は年間で146万元、日本円にすると2000万円以上になる。

 ヨーロッパでは、チューリップの球根1つが、住宅以上の価格に跳ね上がるほど、投機が盛り上がったことがある。日本でも1980年代後半のバブル期には、皆が「地価は上がり続けるもの」と土地神話を信じた。資産運用に熱が入りすぎると、冷静さが失われ、熱狂的な投機へと発展していく。財テクに走る中国企業も同じ失敗を繰り返すかもしれない。

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【プロフィル】関辰一

 せき・しんいち 2006年早大大学院経済学研究科修士課程修了。08年日本総合研究所入社、15年から調査部副主任研究員。専門分野は中国マクロ経済。35歳。中国上海出身。

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