--経済界から政府に要望することは
「安倍政権には官民プロジェクト10に代表されるような成長戦略や、構造改革、規制改革を大胆に進めてもらいたい。早く改革が進むものもあるが、規制改革などでは対応が遅れているものも多い。社会保障制度も改革テーマを44項目掲げ、今年は11項目を議論したが、予算案などに盛り込めたのは8項目で、踏み込み不足もあり、改革のペースを上げてほしい。また、経済の好循環には地方経済の活性化が必要だ。経団連としても、地域の経済団体との連携を強化していく」
--今年の経済外交の基本方針は
「昨年は各国の10人の元首と面会した。それ以上に各国の経済団体との交流も活発だった。各国ともに日本との経済関係の拡大を望んでいるからだ。今年も引き続き経済外交を進めていく。まず、米国だ。新政権ができてどうなるか、特に通商政策に懸念を持っているからだ。トランプ氏が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)見直しを選挙期間中に発言しているなかで、日米にとっての経済的な意義を説明したい。私自身が行くことを含めて、米国ミッションを考えたい。また、日露の経済連携も進展状況によっては対応が必要だ。日露の経済連携を進めていくには、ロシアのビジネス環境の整備を継続させることが欠かせず、経団連としての働きかけは必要になるとみている」
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【プロフィル】榊原定征
さかきばら・さだゆき 名大院修了。1967年東洋レーヨン(現東レ)。専務、副社長を経て2002年に社長就任。10年6月会長、15年6月から相談役最高顧問。経団連は14年6月に会長就任。73歳。愛知県出身。