政府は19日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)に代わる高速炉の方向性を議論する「高速炉開発会議」で、今後の開発方針案を示した。研究開発の継続に必要な知見は「もんじゅ再開によらない新たな方策によって獲得を図る」と明記し、廃炉の方針を明確にした。近く原子力関係閣僚会議で正式に決定する。
また、文部科学省は会議でもんじゅ廃止措置の行程表を示した。5年半で使用済み燃料を取り出し、30年で廃炉にする。施設の解体費や工事中の維持管理費などで総額約3750億円超のコストがかかるという。
高速炉開発会議には、世耕弘成経済産業相、松野博一文科相、電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)らが参加した。
世耕弘成経産相は、「高速炉開発会議の議論はこれで一区切り。今後はより技術的な具体論に議論を落とし込む」と述べた。
政府は核燃料サイクル政策の推進を堅持するとともに、もんじゅの代替高速炉の開発に向け、作業部会を設置。年明けから工程表の策定を始め、2018年をめどに取りまとめる。
フランスの実証炉「ASTRID(アストリッド)」との共同研究や、もんじゅの前段階の高速実験炉「常陽」(茨城県)などを活用し、原型炉であるもんじゅの次段階に位置する実証炉を国内に建設するとしている。