日本が調達するLNGの価格は中東諸国の影響が大きい原油価格に連動した長期契約が中心で、産出国と消費国の直接取引で決まることが多い。自由化が先行する欧州や、シェール革命が起きた米国でガス価格が低下しているにもかかわらず、日本は割高な取引を強いられている。
また、LNGの余剰分の転売が禁止されるなど、不利な契約形態も残る。ロシアとの関係強化は、こうしたLNGをめぐる課題の改善につながる。
ただ、ロシアとの交渉は予断を許さない。サハリン2に出資した英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事は2006年、ロシア政府の圧力を受け、政府系企業ガスプロムへの経営権譲渡を迫られた。苦い経験の二の舞いを演じないため、相手の出方を十分見極める必要がある。(高木克聡)