石油輸出国機構(OPEC)の減産合意で原油価格は一層の上昇が見込まれており、ガソリンなど石油製品の値上がりが国内の個人消費や企業活動にも影響を与えそうだ。ただ、円安や株高に結びついて景気にはプラスに働く面もある。
市場関係者によると、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、一般に原油価格が1バレル=1ドル上昇すると70銭程度値上がりする。石油連盟は減産合意を受け40ドル台後半で推移してきた原油価格が55ドル程度まで上昇するとの見通しを示しており、ガソリン価格も直近の125円60銭(11月28日時点)から130円程度まで上がる計算だ。
実際は、減産合意を好感した円安で原油の調達コストが上昇し、石油製品の価格はさらに押し上げられる。本格的な冬将軍の到来を控え、「灯油の高騰が心配」(石油業界関係者)との声が漏れるほか、プラスチックなど原材料も値上がりして価格転嫁できない中小企業を圧迫する恐れがある。
一方、減産合意で株式市場は活気づいており、今後は長引く原油安で流出した産油国のオイルマネーの回帰も期待できる。石油製品の値上がりは消費者物価の上昇につながり、デフレ脱却を後押しする効果もある。