同紙は、ACTの今回の決断に対する戸惑いの声も紹介している。ある英語スクールの経営者は試験会場が1カ所になれば地方の学生は不利になると困惑する。さらに、ACTが韓国で不正が横行していたことを公式に認定し厳しく批難したことで、「国全体のイメージが悪くなり、(韓国の)学生たちが米国の大学入試で過小評価されるといった不利益を受けかねない」との懸念も示した。
縁故主義に虚脱感
受験戦争を必死で戦い、多くの学生が不正に手を染めてしまうのも、学歴社会で一定以上の社会的な地位を得るため。しかし、そんな“努力”も歯が立たないのが縁故主義だ。国政介入疑惑を持たれている崔順実容疑者に関する報道内容に、グロテスクなまでに現れている。
「若者に虚脱感…『韓国を永遠に離れたい』」。こんな見出しで若者たちを代弁する記事を掲載したのは中央日報(日本語電子版)だ。「お金も実力」と言ってのけた崔順実容疑者の娘をやり玉に挙げる。
彼女の発言は「激しい入試競争の中で苦労して大学に合格し、合格後も深夜まで課題と試験勉強をする」「大学卒業とともに就職というもう一つの山を越えなければいけない」という韓国の一般的な若者にとって受け入れがたいものだろう。
23歳という学生の一人は、同紙に「頑張って努力すればよいという大人の言葉はもう信じることができない。韓国を永遠に離れたいという考えになる」と語っている。しかし、留学試験は受けにくくなる。ため息が聞こえてきそうだ。
学歴社会で鍛えられた国民の能力に支えられ、縁故主義もはびこらせた韓国経済の驚異的な成長力。経済副首相兼企画財政部長官に指名された任鍾龍・金融委員長は11月8日、現状は「薄氷を踏むように非常に危険」との認識を示した。韓国経済は転換期にあるのかもしれないが、若者たちにはその先が今は見えないようだ。