経済産業省は31日、電力自由化後の課題を議論する有識者会合を開き、火力発電所を主な対象に発電設備を持っていれば発電しなくても一定の収入が得られる「容量メカニズム」を導入する方針を示した。天候に左右される再生可能エネルギーの発電量を穴埋めし、安定した供給力を確保するための投資を促す仕組み。整備費用を市場価格に上乗せすることで新電力を含む全電力会社で負担する。
自由化で競争が激化したことで、電力会社は発電コストの安い電源から順番に運転しており、制度的な優遇措置があり優先的な供給を義務付けられる再生エネの発電量が増えている。発電量を調整しやすい火力発電は新規投資が停滞する見通しで、将来の供給予備力が低下する懸念がある。
容量メカニズムは、費用を一定の割合で長期にわたって回収するため、市場価格の安定につながる利点もある。間接的に投資費用を負担することになる新電力の代表からも、「われわれも一定の役割を果たすべきだ」と賛同する意見が出された。
容量メカニズムは英米仏などでも導入されており、電力自由化を進める海外の先行事例を参考に詳細な制度設計を詰める。