【論風】岐路に立つグローバリズム 日本は存続へ主導権発揮を (3/3ページ)

2016.10.6 05:00

 このように、グローバリズムは深刻な岐路に立たされている。しかし、グローバリズムは、19世紀から20世紀にかけ世界を支配したナショナリズム、そして20世紀後半の東西のイデオロギーの対立をこえて、ベルリンの壁の崩壊を契機にようやく手に入れたレジームである。

 それは、民主主義、法の支配、人権の尊重-を目標に主要国の連帯によって平和を維持し、市場経済、自由貿易、企業活動の自由によって経済成長を促し、環境保全、生活向上、貧困撲滅などで人類の福祉の充実を図り得るとの期待があった。世界は、グローバリズムを理想としている。

 資源、食糧、市場を海外に依存し、国の安全を集団安全保障体制に依存する日本は、グローバリズムなしに国の存立は図れない。今こそ日本は、世界にグローバリズムの意義を説き、その具体的ビジョンを提示し、その基盤を固める努力を払わなければならない。

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【プロフィル】福川伸次

 ふくかわ・しんじ 東大法卒、1955年通商産業省(現経済産業省)入省。86年通産事務次官。88年退官後、神戸製鋼所副社長、副会長、電通総研社長兼研究所長を経て、2005年から機械産業記念事業財団会長、12年4月から現職。84歳。東京都出身。

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