公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は29日、平成27年度の運用実績が5兆3098億円の赤字だったと発表した。運用損失を出したのは5年ぶり。26年10月に株式の運用割合を増やしており、中国経済の減速などに端を発した国内外の株安などが響いた。26年度末時点の株式や債券の全保有銘柄も初めて公表した。
27年度末の運用資産額は134兆7475億円で、27年度の収益率は3.81%のマイナスだった。
GPIFは26年10月に運用資産の構成割合を変更し、金利低下が続く国内債券の割合をそれまでの60%から35%に下げる一方、株式の割合を約2倍の50%に引き上げた。26年度は株高の影響で約15兆円の運用収益を計上したが、27年度については株式の運用割合を高めたことが裏目に出た形だ。
一方、GPIFが市場運用を始めた13年度からの累積では運用益は45兆4239億円、収益率も年率2.7%と、20年のリーマン・ショックをはさんでも高い運用益を確保している。