欧州でも独自のメールサービスやデータセンターを持つべきだという声が高まっている。また最近シンガポール政府は、公務用コンピューターについてはセキュリティーの観点からネットとの接続を遮断する決定を下した。
以上のような混とんとしたサイバー空間に秩序を作ろうと国連や、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも話し合いが進められたが、先進国とロシア、中国を中心とする途上国との溝は大きいままである。
このような状況下、政府による過度の規制や介入は望ましくないものの、日本政府にはサイバー空間において国民の生命・財産のほか基本的人権やプライバシーをサイバー攻撃や情報詐取から守らねばならない責務がある。
そのためには、隣国からのサイバー攻撃に対しては米国との同盟関係を強化する必要がある半面、米国に対しても日本独自の暗号開発などで守りを固めなくてはならないであろう。また、IoTの進展に対応してシステムや機器の企画・設計段階から事前にセキュリティーの確保を盛り込む「セキュリティ・バイ・デザイン(SBD)」を社会全体に普及させることや、人工知能(AI)によるサイバーセキュリティーの技術開発が急務となる。