英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が23日に迫り、離脱が決まった場合の日本経済への悪影響を警戒する声が、政府や市場から上がり始めた。英国には日本企業の拠点が多くあるほか、円高、株安の進行で、国内の個人消費や輸出が冷え込む恐れがあるからだ。円高、株安だけで日本の国内総生産(GDP)が1%押し下げられるとの試算もあり、安倍晋三政権が目指すデフレ脱却の足かせになりかねない。
石原伸晃経済再生担当相は10日の記者会見で「万が一、『離脱』となれば、ロンドンに拠点を置くなど海外で展開している日本企業に影響が出る。注視していく」との考えを示した。
外務省によると、昨年10月時点で英国内の日系企業の拠点数は1021。製造業や卸小売り、金融など多様な業種が進出している。
主要メーカーのうち、日産自動車やホンダはEU輸出向けの生産工場を置いている。離脱後は関税が、乗用車で約10%かかる可能性もあり、対EU輸出の減少が企業収益悪化につながりかねない。