ところが、5月の雇用統計で景気のバロメーターである非農業部門の就業者数の増加ペースが急減速し市場に驚きが広がり、円相場は前日の1ドル=108円台から一気に2円以上も円高が進んだ。ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「米国が段階的に利上げを行うことが円安の条件。だが、雇用統計があまりにも低調な内容で追加利上げはしばらくないとの見方から、円が買われた」と指摘する。
市場関係者が注目するのは、6日のイエレン議長の講演だ。5月27日の講演では追加利上げについて「数カ月以内に適切になるだろう」と述べていた。利上げに踏み切る上で重視していた雇用の改善に急ブレーキがかかったことで軌道修正するかが焦点。上野氏は「発言がトーンダウンすれば、さらに円買いドル売りが進み、1ドル=105円台を目指す動きになる」とみる。