財務省が12日発表した2015年度の国際収支速報によると、海外との経済取引の全体像を示す経常収支の黒字額は、前年度の約2・1倍に当たる17兆9752億円に拡大した。年度末に東日本大震災が起きた10年度以来、5年ぶりの高水準となった。
原油安で輸入額が減って輸出入の差額である貿易収支が5年ぶりに黒字に転換したほか、訪日外国人の増加で旅行者のお金の出入りを示す旅行収支が2年連続の黒字になったことが貢献した。
経常収支の内訳は、貿易収支の黒字が6299億円。6兆5890億円の赤字だった前年度から大幅に改善した。
海外投資から得られる利子や配当を示す第1次所得収支の黒字は前年度比2・9%増の20兆5611億円。旅行収支の黒字は約5倍の1兆2731億円に膨らんだ。
同時に発表された16年3月の経常収支は2兆9804億円の黒字だった。黒字は21カ月連続。