フロレンシオ・アバド予算管理相は、こうした各候補者の主張に対して「行政面で改善の余地はあり、新政権は必ずしも増税に踏み切る必要はない」と理解を示す一方で、「票目当ての大衆迎合的な政策争いになれば投資家の信頼を失う」とくぎを刺した。
また、経済を専門とする民間団体の研究者は、すでに多くの候補者が実現の難しい大衆迎合的な政策を打ち出していると指摘、例として所得減税の議論を挙げた。同研究者によると、所得減税には代わりの財源が必要だが、貧困層の負担増につながるとの研究結果が報告された付加価値税の税率引き上げを財源に主張する候補者がいるなど、国民に対して説得力のある議論が行われていない状況だという。
フィリピンはアキノ政権下で順調な経済成長を遂げた。しかし、歳入に関しては15年の実績が2兆1090億ペソ(約5兆194億円)で政府目標の92%にとどまる。なかでも、税収は内国歳入庁が目標の86%、関税局が同84%と低調だった。歳入増の具体策は、新政権にとって課題になるとみられている。(シンガポール支局)