日銀の黒田東彦総裁と石田浩二審議委員は18日、マイナス金利政策の導入効果について、それぞれ異なる見解を示した。
黒田総裁は参院財政金融委員会に出席し、「消費や投資にプラスの影響を与える」と強調した上で、個人向け預金金利がマイナスになることを否定した。マイナス金利を導入している欧州では住宅ローンの金利を引き上げる動きがあるが、「日本では引き上げは起きない」と述べた。
石田審議委員は、福岡市内で開いた金融経済懇談会後の記者会見で「もともと金利は低かった。導入しても設備投資の増加にはつながらないと考えた」と述べた。ただ、効果そのものについては「始まったのは16日なので、まだ結果を言うには早い」と明言を避けた。
マイナス金利導入の「副作用」として金融機関の収益悪化が懸念されていることについては、「大きな影響は出ない」(黒田総裁)、「金融システムは安定性が高く懸念はない」(石田審議委員)と意見が一致した。
先月29日の金融政策決定会合で、採決結果が5対4と分かれ、黒田総裁らが賛成し、石田委員らは反対した。