--日本のものづくりの進むべき道は
「IoT(さまざまな機器をインターネットにつなぐ技術)で先行するドイツや米国への対抗勢力をつくることが重要で、価値観が共有できる東南アジアなどに目を向けるべきだ。もちろん、欧米の最新技術に関する情報には関心を払わなければならないが、後追いをするのではなく、全く違う価値観を示せるかが問われる。科学技術は利便性を高めたが、人間はそれ以上に忙しくなり、果たして昔に比べて幸せになったのか。南極観測隊での日々は過酷だったが、かえって心豊かに過ごせた。この先、どのような技術が必要とされるのかは分からないが、自然との共生といった言葉がヒントになるだろう」
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【プロフィル】東信彦
あずま・のぶひこ 1986年、北海道大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士課程修了。専門は雪氷学。94~96年、第36次日本南極地域観測隊ドームふじ越冬隊長。2009年北グリーンランド氷床掘削国際共同計画に参加。13年長岡技術科学大学理事・副学長、15年学長。大阪府出身。