【ASIAウオッチャー】ミャンマー民政移管から5年(上) (1/3ページ)

2015.11.3 05:00

 □政策研究大学院大学教授・工藤年博

 ■予想外のテイン・セイン改革 国際社会復帰で再成長

 今から5年前。2010年11月7日に行われた総選挙で連邦団結発展党(USDP)が8割の議席を確保し圧勝した。翌11年3月30日にはUSDPを母体にテイン・セイン政権が発足し、ミャンマーはそれまでの軍政から民政へと大きくかじを切った。その後、自由化路線を歩み改革開放も着々と進んでいる。

 だが、現政権のスタート当初は、関係各国の誰もが改革の進展に懐疑的だった。テイン・セイン政権は軍事政権の延長に過ぎないとみていたからだ。

 ◆軍服組が閣僚

 ミャンマーは1988年9月18日に軍部が政権を掌握して以来、22年余りに渡って軍政が敷かれてきた。10年11月の総選挙で勝利したUSDPは国軍の肝煎りで結成され、軍政の序列でナンバー4のテイン・セイン氏が大統領、ナンバー3のトゥラ・シュエ・マン氏が下院議長に、それぞれ選ばれた。36の閣僚ポストの約80%も軍人出身者が占めた。テイン・セイン政権は、軍服を直前になって脱いで文民になった人々で成り立っている「退役軍人」政権であった。

 一方で、民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)は選挙をボイコット、スー・チー氏自身は自宅軟禁中だった。そんな背景から、欧米の先進国などはテイン・セイン政権になったからといって、ミャンマーの国政が大胆に変わるとは考えなかった。

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