【高論卓説】年160万人…迫る「多死社会」 (2/3ページ)

2015.10.28 05:00

 一般的に治療を行っても改善しない状況になったことを終末期と言い、その時期の医療・看護を「ターミナルケア」と呼ぶ。人生の最期を自分が暮らしてきた自宅で過ごして看取られることが「クオリティー・オブ・ライフ(QOL)」のためにも必要と考える人は多い。

 かつて日本では自宅での看取りが大半を占めていた。「病院での看取りが増加したのは1973年に始まった老人医療費の無料化が大きく影響した」と、在宅医療に取り組む医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長は指摘する。終末期を病院で医療行為を行うと治療費は月200万円を超えるが、病院以外であれば「10分の1の負担で済む」という。

 「医師の中にも死亡するときに立ち会えなければ不審死として警察に通報されると認識するものが増えたが、全くの誤解。そうした誤解を解くことも病院以外の自宅などで安心して看取るためには必要だ」と、医療法人社団つくしんぼ会の鈩裕和理事長は訴える。

 国土交通省では高齢者の第二の自宅とすべく2011年からサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の整備を進め、15年9月末の登録戸数は18万5500戸に達している。入居率は地域でばらつきがあるが、岩手、秋田、富山では8割を超え、入居者の増加とともに看取りへの対応が大きな課題となる。

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