環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は時間切れ寸前までギリギリの調整を続けた。最も難航していた新薬データ保護期間をめぐり、米国とオーストラリアが4日に合意し、甘利明TPP担当相が同日、大筋合意の見通しを明言してからも、交渉の終結を決めるはずの閣僚会合の開催が大幅に遅れる異例の展開となった。
「何があろうとも、われわれは合意のためにここに残り続ける」。メキシコのグアハルド経済相は交渉が土壇場にきてもなお手間取っている事実を認めながらも、大筋合意にこう自信を示した。
米通商代表部(USTR)は当初、大筋合意を発表する記者会見の開催を4日午後4時(日本時間5日午前5時)と案内していた。しかし、肝心の閣僚会合が同日深夜になっても開かれず、交渉は5日にずれ込んだ。そもそも、今回の閣僚会合は協議日程を2度にわたって延長しており、日本の交渉関係者は「不測の事態だらけで疲れ果てた」とこぼした。
交渉がここまで延びたのは、新薬データ保護期間でチリやペルーが米豪の合意案に抵抗感を示したためとみられる。これは議長国である米国の不手際も大きい。