【アトランタ=小雲規生】オバマ米大統領は5日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、「米国の価値を反映した合意だ」とする声明を発表した。オバマ氏は、TPPが米国製品の輸出を促進するだけでなく、労働や環境に関する高い基準を目指すものであると強調した。
オバマ氏にとって就任1年目の2009年に自ら参加を表明したTPPは、アジア太平洋地域の経済成長を米国経済の拡大につなげる重要政策だ。大筋合意を実現したことは、新たな政治的遺産(レガシー)に近づいたことを意味する。
しかし今後の米議会での批准手続きでは、民主党が慎重姿勢を示す見込み。TPPを推進している共和党のハッチ上院財政委員長ですらも5日、「残念ながらTPP合意は(高い)基準を全く満たさないもののようにみえる」との声明を出し、議会で慎重にチェックする意向を示している。
16年の大統領選で民主党からの候補者指名を目指すサンダース上院議員は、TPP合意について「失望した。破滅的な行為だ」と酷評しており、TPPへの賛否が今後の大統領選の争点となる可能性がある。