【日曜経済講座】上海支局長・河崎真澄
中国の習近平指導部が、2016年から20年までの「第13次5カ年計画」の策定作業を始めている。中国の5カ年計画は旧ソ連にならい、社会主義経済の確立をめざして1953年から始まった基本政策だ。毛沢東が発動した大躍進政策の混乱で一時中断したが、66年からは5年ごとの計画が続いている。
今年が最終年度となる第12次5カ年計画は胡錦濤政権時代の2011年に始まった。12年11月に中国共産党のトップに上り詰め、翌年3月に国家主席に就任した習氏にとって、来年からの第13次は自らの意志をいかようにも盛り込める初の5カ年計画となる。
だが、今回の計画策定には早くも暗雲が垂れ込めている。計画全体の基本的数値となる経済成長率を何%に設定するか、政治的駆け引きになっているからだ。
共産党は12年11月の党大会で「20年までに国内の個人所得と国内総生産(GDP)を10年実績の2倍にする」との中国版所得倍増計画を、いわば公約として打ち出した。このときの党大会で総書記に選ばれた習氏自身も、公約にはコミットせざるを得ない。