3月に就任した日銀の原田泰審議委員は11日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、日銀が物価上昇率2%の達成時期とする「2016年度前半頃」について、1%台半ばにとどまった場合でも物価の上昇トレンドが確認できれば追加の金融緩和は不要との考えを示した。就任後、国内メディアのインタビューに応じたのは初めて。
原田氏は「2%に近づいていくことが見えるのであれば、さらにアクセルをふかすべきだとは思わない」と述べた。達成時期の後ずれを容認する発言とみられ、柔軟な政策運営を重視する立場を示した。
物価の先行きについては「今年の秋頃(9、10月)から上向き始める」と予想。消費者物価指数(生鮮食品除く)の上昇率は、直近の4月で消費税増税の物価押し上げ効果を除くと横ばいだが、上昇に転じるとの見方だ。
ただ、原油価格が再び急落すれば物価も下落し、市場で追加緩和期待が再燃するのは必至だ。原田氏は追加緩和の手段として、「付利(銀行が日銀に預ける当座預金に付く金利)の引き下げなど、いろんな方法がある」と持論を展開した。
付利は、当座預金のうち、払い戻しに備えて積まなければならない金額を上回る分(超過準備)に0.1%の利息を付ける仕組み。原田氏は「付利の引き下げは景気を刺激する」と語った。日銀が大規模金融緩和で増やしているマネタリーベース(資金供給量)には超過準備も含まれる。このため、付利がなくなれば、銀行が超過準備を貸し出しや投資に回すとみる。