【専欄】三峡ダム航行に深刻な渋滞 拓殖大学名誉教授・藤村幸義 (2/2ページ)

2015.3.18 05:00

 このため現場では深刻な船の渋滞が発生している。下るのに約30時間、上りは約60時間も待機せねばならない。平均して1日に200隻が通過待ちを強いられているという。コンテナ積載船が重慶と上海の間を往復するには通常、4~5日間だが、渋滞によって2~3日間も余計にかかっている。1日の通過待ちで、1万元(約19万4000円)のコスト増になるというから、かなりの損失になってしまう。

 中国政府は昨年秋に「黄金水道をてこに、長江経済ベルトを発展させることに関する指導意見」を発表した。それによると、長江流域は11の省市にまたがり、人口および域内総生産(GDP)は全国の約4割も占めている。まさに沿海地区と中西部を結ぶパイプの役割を果たしている。三峡ダムの航行が不自由になれば、長江流域全体の経済発展にも大きな影響を与え、黄金水道の輝きを失ってしまう。

 重慶のある代表は「次の5カ年計画(16~20年)期間中に、もうひとつ航行用の閘門設備を作るべきだ。技術的には十分可能、建設資金の500億元も問題ない」と提案。それにしても、完成からわずか数年で改修を迫られるとは、あまりに早すぎる。

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