【アジアの目】インドネシア、麻薬撲滅へ強い意志 (3/3ページ)

2015.2.26 05:00

インドネシアからの麻薬密輸を企て、死刑判決を受けたミュラン・スクマラン死刑囚(右)とアンドリュー・チャン死刑囚=2011年8月、バリ刑務所(AP)

インドネシアからの麻薬密輸を企て、死刑判決を受けたミュラン・スクマラン死刑囚(右)とアンドリュー・チャン死刑囚=2011年8月、バリ刑務所(AP)【拡大】

 ◆厳罰科すアジア諸国

 インドネシアに圧力をかけているはオーストラリアだけではない。先月、2人と同様に麻薬密輸の罪でブラジル人とオランダ人らに対する死刑が執行された。死刑に反対していた両国政府は、駐インドネシア大使を召還。さらにブラジル政府は、20日に予定されていた新しい駐ブラジル・インドネシア大使への信任状授与を中止した。

 これに対し、インドネシアのカラ副大統領は、ブラジルから購入を計画していた16機の戦闘機と多連装ロケット砲の契約を見直す考えを表明するなど強い姿勢を崩していない。

 インドネシアに限らず、東南アジアでは麻薬取り締まりが厳しい。シンガポールでも05年に麻薬密輸で有罪となったオーストラリア国籍の男性が死刑になった。

 またマレーシアでは、09年にドバイ経由で麻薬を持ち込んだとして逮捕された日本人の女性元看護師が1審に続き、13年の2審でも死刑判決を受けた。被告は荷物を頼まれただけとして無罪を主張しているものの、極刑は免れそうもない。

 欧米と同様に、日本も麻薬に対する罰則はアジア各国に比べると緩やかだ。アジア各国でも死刑執行そのものは減少傾向にあるが、こと麻薬に関しては厳しい。

 実際のところ、オーストラリア国内でも麻薬密輸を企てた2人の死刑は当然とする声はある。アジアの一員との立場をとるオーストラリア政府も、あくまで死刑中止を求めつつ、仮に刑が執行されてもインドネシアとの外交関係に影響を及ぼすことはないとしている。ブラジルやオランダも、オーストラリアの姿勢を見習うべきだ。(編集委員 宮野弘之)

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