テロの封じ込めへ向けた国際連携の強化はもちろんですが、西洋世界とイスラム世界の相互理解に向けて、多様な価値観の平和的共存を可能としうる思想の広がりが必要なのではないでしょうか。東西両文明の懸け橋となりうる日本には、世界の秩序形成に向けた主体的な役割を展開することが要請されていると考えています。
--事件には、移民をめぐる軋轢(あつれき)や経済格差に対する不満も背景にあるとみられています。格差といえば、格差社会を分析した「21世紀の資本」の著者、フランスの経済学者であるトマ・ピケティが今月末に来日します
ピケティ氏は、200年以上の統計データの分析から、資本主義では、資本収益率が経済成長率を上回っているとして、資産家の世襲を通じて格差は広がると主張。国際協調による世界的な資本税を提言するなど、富裕層への課税強化を説いています。
世界的に格差拡大が問題となるなか、資本主義のありかたに疑義を突きつけるピケティ氏の主張は多くの人を惹きつけ、マルクスの再来と見る向きもありますね。
しかし、私たちとしては彼の考えに与するわけにはいきません。国際協調による資本課税に対し、その非現実性も指摘されるところですが、もとより、課税を強化して富めるものから召し上げるというのでは、勤労意欲や経済活力は削がれるばかりでしょう。たしかに資本主義では格差は開いていきますが、資本の集中が富や多くの雇用を生むことも見逃してはなりません。
折しも、日本ではアベノミクスにより円安・株高が進展。大企業の業績が回復基調にある一方、中小企業などにはあまり恩恵がないことから、富めるものが潤えば、その富が大衆に波及するというトリクルダウンは幻想であるとして、再分配政策を求める声も強くなりつつあります。