ここにきて、デフレ脱却が危うくなることを理由に、安倍首相も来年10月に予定されていた消費税率の10%への再引き上げを再来年4月まで18カ月延期する方針を表明しました。しかし、いずれ再増税に踏み込めば、消費の大低迷を招き、日本経済が大きなダメージを受けることは避けられません。
--安倍首相は2017年4月の引き上げについては、確実に実施するとの意向ですが
その前年、16年夏の参議院選挙での争点化を避ける狙いがあることは明白でしょう。しかしながら、5%から8%への引き上げで経済が低迷しているさなかに、2年半後の増税を約束すること自体、無責任極まりないのではないでしょうか。自民党が総選挙で掲げた「この道しかない」というスローガンが、消費再増税の確実な実施を指すのであれば、とんでもない間違いです。
厳しい財政状況を鑑み、「消費増税は必要」との主張もみられますが、財政再建を望むならば、経済成長によって税収増を図り、債務残高の対GDP(国内総生産)比の縮小を目指すべきであり、民間活力を引き出す実効性ある成長戦略にこそ注力しなくてはなりません。
--具体的には
民間の自由を拡大するには、「安い税金」の「小さな政府」を目指さなくてはなりません。5%への消費税率引き下げはじめ、大胆な規制緩和により、国民生活への政府関与を大幅に縮小すべきです。自民党は農業、雇用、医療分野などにおける岩盤規制の打破を公約しましたが、支持団体の反対もあるなか、規制緩和をどこまで断行できるのか疑問が残ります。