中国では、各地で農業研修の実施が盛んになっている。このほど四川、江西、湖北省などを取材したが、既に効果は著しく、受講生の中には大規模農家となったり、生産組合の代表に就いたりする者も出てきた。だが、現状にはさまざまな問題点があると指摘する声もある。
中国の農村地区では、各地の自治体の農業局と中央農業放送テレビ学校(CABTS)が農業技術や経営などを教える「陽光研修」を実施している。
2006年に開校した四川省資陽市雁江区のCABTSも「陽光研修」を実施。「1クラスの定員は50人。一般研修は村で行い、起業研修は県で行っている」と肖瓊校長は説明する。
今から5年前、肖校長が同区忠義鎮敲鐘村で研修生を募集したところ、Uターンで郷里に戻ってきた劉樹文さんの目に留まった。村では昔から柑橘(かんきつ)類を栽培していたが、味や見た目に難があり、なかなか良い値がつかなかった。劉樹文さんは、これから柑橘類が有望だと考えていたときに研修生の募集を知り、迷わず起業研修クラスに参加した。
肖校長によると、劉樹文さんのような場合、学校側は授業料を免除した上で給付金や交通費を出すという。劉さんは、地域の中心地で他の研修生たちと7日間の集中講義を受講した。「先生は新しい技術や起業のことを話してくれ、面白かった」と話す劉さんは、修了後に仲間とともに雁江区現代柑橘専業合作社を設立し、理事長に就任。今では、加入農家が116戸に増え、栽培面積は2000ムー(1ムーは約6.67アール)、昨年の生産高は800万元(約1億5472万円)にまで成長した。
◆「実情と合わない」
一方、現場担当者や農民らは、受講後のフォローアップがないことや研修生が集まらないこと、教師の力量不足などを訴える。