決算の赤字を翌年度以降の黒字から差し引く「欠損金の繰り越し控除制度」について、毎年度の上限額を減額することで赤字企業の恩恵を小さくする。欠損金の繰り越し控除は現行では最大9年にわたって赤字を繰り越せ、大企業では各年度の黒字額の80%までを差し引ける。同制度に伴う法人税の減収分は12年度で2.3兆円。限度額を60%や50%に下げる案がある。
地方税の法人事業税の一部として導入される外形標準課税の強化も柱となる。政府内では、所得に応じて黒字企業に課税している法人事業税の「所得割」(14年度の税収で2.2兆円)を減税する一方、赤字企業も対象で、従業員の賃金を中心に課税される外形標準課税の中の「付加価値割」(同0.4兆円)を増税する案が有力。黒字企業だと税負担が減り、赤字だと負担増になるため、収益力強化に向けた改革につながる効果が見込まれるという。
政府税制調査会(首相の諮問機関)は、6月の法人税改革の提言の中で、法人税改革の目的として「収益力改善に向けた企業の取り組みを後押しする変革」を挙げた。