政府税制調査会の基礎問題小委員会が23日開かれ、専業主婦らのいる世帯の税負担を軽くする配偶者控除の見直しをめぐり、論点整理案を示した。制度見直しの目的である女性の就業拡大に向けて、税制だけで問題解決を図ることは「困難」で、保育所の拡充など仕事と子育てを両立する「総合的な取り組みが不可欠」と指摘した。
今後の議論の進め方については「中長期的な観点から幅広く検討する」との表現にとどめ、政府が6月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」には見直しが盛り込まれない見通しとなった。
政府税調の中里実会長(東大教授)は会合後の会見で「配偶者控除だけを切り分けて議論するわけにはいかない」と述べ、所得税の控除全体の見直しとセットで議論する必要があると説明。さらに、「(女性の就労拡大は)労働や福祉とも密接に絡む。少し時間をかけて議論する必要がある」と述べ、見直しは中長期的な課題との認識を示した。
配偶者控除は、妻の年収が103万円以下なら夫の課税所得から一定金額が差し引かれ、税負担が軽くなる。主婦らはこの制度を意識して働く時間を調整する傾向にあり、「103万円の壁」が、女性の就業を妨げているとの指摘がある。