【ソチ=佐々木正明】欧州統合路線をめぐり、政情不安が続くウクライナでは通貨フリブナの下落が続き、国民の生活への影響が顕著になっている。ヤヌコビッチ大統領は野党側の抗議にもかかわらず、7日のソチ五輪開会式に強行出席、ウクライナへの大型融資を約束したプーチン大統領と会談した。
対ドル通貨レートは2月に入り、一時、1ドル9フリブナ直前まで急落。昨年11月の反政権デモが始まる前の8.2フリブナ前後より10%近く下落した。先月、辞任したアザロフ首相に代わって、首相代行を務めるアルブゾフ氏は「政情不安が為替市場を圧迫している」と述べた。
国内ではガソリンや一部の食料品などの輸入品が相次いで値上げしているほか、通貨安の影響で、ビジネスマンや旅行客の外国への渡航延期も相次いでいるという。
欧州統合を求める野党勢力の拠点、首都キエフの独立広場では、9日にも大規模集会が開かれ、集まった約2万人の市民が、ロシアにすり寄る大統領の姿勢を批判した。第2野党「ウダル」のクリチコ党首は広場への強制排除の脅威が高まっているとした上で、「ヤヌコビッチ大統領はティモシェンコ(元首相)のように、私を刑務所に入れたがっているようだ」と述べた。