兄のフィデル・カストロ前国家評議会議長は冷戦時代、ソ連から全面的な支援を得て国家を運営していたが、1991年のソ連崩壊で“後ろ盾”を失った。
ラウル氏は政権に就くと中国を模範とした経済特別区を設置するなど、市場原理に基づく経済改革を部分的に導入してきた。
パナマ運河が近く拡張されるのに合わせ、首都ハバナ西郊にあるマリエル湾整備に国外からの投資も呼び込みたい考えもある。
ただ、約2年間の交渉には曲折も予想される。EU加盟28カ国のうち、ポーランドとチェコは旧ソ連の支配下で辛酸をなめた歴史を持つ。
人権問題が大幅に改善されない段階で、キューバとの協定締結には難色を示す可能性があり、EUによる加盟国内の調整能力も試されることになりそうだ。
EUは03年、キューバで反体制活動家75人が逮捕されたことを契機に経済制裁を発動したが、08年に解除し、その後は部分的な交流を続けていた。