【ニューデリー=岩田智雄】南アジアと東南アジアを結ぶ幹線道や鉄道などの充実を図る「国際経済回廊開発」に、日本が積極的に乗り出す。中国の影響力に対抗して地域の経済発展に協力し、日系企業の活動基盤整備につなげる狙いだ。日本とインドの協力は、25日に訪印する安倍晋三首相とシン印首相との首脳会談でも協議される見通しだ。
日本の国際協力機構(JICA)は昨年8月から今年3月までの予定でインド、バングラデシュ、ブータン、ネパール、ミャンマー、タイの6カ国を対象に1億円余りをかけ、回廊開発の調査を行っている。
回廊整備ではアジア開発銀行(ADB)などが先行しており、調査は日本が今後どういった形で協力できるかを探るのが目的だ。16日にはニューデリーで関係国代表者を集めて中間報告セミナーも行われた。
東南アジアではこれまで、ADBや日本の支援でベトナムからミャンマーまでの東南アジア諸国連合(ASEAN)地域を幹線道路で横断する「東西経済回廊」の整備が行われてきた。インド、ミャンマー、タイの3カ国は2016年を目標に域内をハイウエーで結び、東西経済回廊へつなぐ事業を進めている。
南アジアとASEAN諸国の境界に位置するミャンマーは過去、軍事政権が野党や民主化運動を弾圧し、欧米の経済制裁を受けてきた。しかし、近年、民主化への努力が進んで制裁が緩和され、両地域の連結性の強化につながるとの期待が高まっている。
日本企業はタイで自動車産業などに数多く進出している。インドでは昨年10月時点の集計で、進出企業が初めて1千社を超えた。バングラデシュでも繊維産業を中心に投資が増えている。回廊開発が進めば、物流の円滑化など企業の活動環境整備が期待できる。