税制改正の“本丸”の議論がいよいよ始まった。20日の経済財政諮問会議で民間議員が提言した法人税の実効税率引き下げ。企業側は、日本への投資を呼び込もうと前向きな姿勢を示す安倍晋三首相を後ろ盾に、引き下げへの道筋をつけたい考え。一方、税収減を避けたい自民党税制調査会や財務省は慎重姿勢を崩さない。年末の平成27年度税制改正に向け、ロングランの論戦が展開されそうだ。
「法人実効税率をアジア諸国並みに引き下げることを目指し、速やかに検討すべきだ」。佐々木則夫東芝副会長ら諮問会議の民間議員4人は、20日の会合に示した「対日直接投資の促進に向けて」と題する提言で、実効税率の引き下げについてこう言及した。
国・地方を合わせた法人実効税率は26年度で35.64%(東京都)とアジア諸国の20%台に比べ突出して高い。経済界では高い法人実効税率が国内産業の空洞化を招き、外資企業の進出を阻害しているとして引き下げを求めている。安倍首相も日本経済の再生には、企業の業績回復が不可欠との認識から、引き下げに理解を示している。
財務省は“火消し”に懸命だ。麻生太郎財務相は同日の会合で、民間議員の提言にすかさず反論。法人実効税率を1%下げれば4700億円の税収減、アジア諸国並みの25%まで下げれば5兆円の減収になるとの試算を示し、「これだけの減収を伴う税率引き下げを財源確保なくして行うことはできない」と徹底抗戦の構えを示した。