「緩和縮小の基準を明確にしてほしい」という新興国の不安に対し、バーナンキ議長は「失業率7%への低下が一つの目安だ」とするものの、目標に据えているわけではない。政策決定の自由度を残していることが市場で多くの解釈を生み、「金利や株価の変動振幅を大きくしている」と新興国側は不満を募らす。
今後、FRBに政策変更の判断基準を説明するよう求める声が高まるのは確実でインドネシアのバスリ財務相は20日「(新興国とFRBが)調整することが重要だ」と発言。FRBにとって、緩和縮小のハードルはこれまで以上に高まった形だ。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は会議後の会見で日銀が「出口戦略」を議論するのは、「時期尚早」との考えを示した。一方、同席した麻生太郎財務相は「いずれそうした時期がくる」と述べた。今回の共同声明は日銀にとっても他人事ではないといえそうだ。(モスクワ 今井裕治、ワシントン 柿内公輔)
G20共同声明の骨子
▽成長の強化と雇用の創出が短期の優先課題
▽世界経済は弱く、回復は脆弱でばらつきがある
▽日本と米国では経済活動が強まる兆し。多くの新興国で成長鈍化
▽先進国は中期的な財政戦略を策定
▽金融政策の変更は明確に説明するよう要請
▽多国籍企業の「課税逃れ」を防ぐための行動計画を支持
▽中国の「影の銀行」の規制・監視の強化