懸念がないわけではない。6月に入ってから、為替や株価の乱高下が続くほか、長期金利の上昇傾向や消費増税などの不確定要素も残る。だが、こうした要素をプラスに変えるような動きも出てきた。
旅行各社は、円安の影響を受けやすい買い物ツアーだけではなく、「滞在型」を強化する。エイチ・アイ・エスは、2400人乗りのイタリアの客船をチャーターするクルーズ商品を発売。JTBも、ハワイやヨーロッパ旅行など、滞在型や史跡巡りなどの商品に力を入れ、現在は前年同期比で2桁増の申し込みがあるという。
長期金利の上昇傾向や消費増税を前にした住宅の駆け込み需要を狙い、リビング部門を強化するのは百貨店大手のそごう・西武。西武渋谷店の地下1階に7日、家具やリビングの人気セレクトショップを集めたフロア「リビング エディション」をオープンさせた。
念頭にあるのは、1997年の消費増税の直近1年で、リビング用品の売り上げが前年より約1割伸びた成功体験だ。「青山や自由が丘のセレクトショップを半日以上かけてめぐる消費者にも、満足してもらえる」(高橋幸智店長)。消費者の心をつかむための知恵比べが熱を帯びている。(佐久間修志)