そして、こうした「新たな汚染物質により、水の浄化はさらに難しくなっている」と復旦大学環境工学学科の研究リポートは訴えている。
同大残留性有機汚染物質実験室の董文博教授によると、飲料水の浄化には(1)生物化学的処理では、産業排水に含まれる塩素系農薬、ポリ塩化ビフェニル、多環芳香族炭化水素などの浄化ができない(2)抗生物質が含まれていた場合、微生物による浄化が難しい(3)消毒に使われる塩素が飲料水に残留するなど、飲料水を生産するプロセスで水が汚染される-といった問題や危険が潜んでいるという。
しかし、汚水処理で重視されているのは、今のところ化学的酸素要求量(COD)や窒素(N)、リン(P)などの抑制のみ。新たな汚染物質に対する関心は低い。つまり、現在の基準や技術では汚染水を完全に浄化することができない。
このため、汚染水はそのまま排出され、周辺の水系を脅かす。「特に農村では、浄化処理が不十分な上、地下水の汚染も進んでおり、飲料水をめぐる問題は深刻だ」(復旦大学資源・環境経済学部の戴星翼教授)。