中国政府の外交壊す解放軍 統制利かず、対米強硬姿勢を誇示? (2/3ページ)

2011.9.1 09:35

 しかし、それが現実に起きたのだから、解放軍はわざとバイデン訪中のタイミングを選んで米中の「友好ムード」を潰そうとしているのではないか、との疑問が湧いてくる。

 実は、今年1月に当時のゲーツ米国防長官が北京を訪問したときの出来事を思い起こせば、この疑問がけっして根拠のないものでないことが分かる。

 1月11日、胡錦濤国家主席が北京訪問中のゲーツ米国防長官と会談した同じ日の未明、解放軍は次世代ステルス戦闘機「殲20」の初試験飛行を断行して世界全体を驚かせた。

 それは、どう考えてもゲーツ国防長官の訪中に合わせた「デモンストレーション」としか思えないが、その結果、当のゲーツ国防長官が大変困惑してしまい、同日行われた胡錦濤・ゲーツ会談もかなり異様な雰囲気となった。

 しかも、肝心の胡錦濤主席は解放軍による試験飛行をまったく知らなかったことが、ゲーツ国防長官の証言によって明らかにされている。それは、やはり中国政府が進める対米外交を、わざと壊そうとする解放軍の独断行為であろうと考えられよう。

 そして、前述のバスケ試合乱闘事件と重ねて考えてみると、この2つの不思議な出来事の背後には同じ構図が存在していることが分かる。同じ米国からの要人訪中に合わせて、同じ解放軍が「奇襲」ともいうべきやり方でそれを潰そうとする行為に出たのだ。どうやら、解放軍は中央政府および最高指導部の対米外交に反発して独自の対米強硬姿勢を示そうとしているようである。

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