内閣改造で自民の待機組60人超 不祥事続発で堅実優先…「狭き門」に諦めムードも

安倍晋三首相が8月3日に断行する内閣改造で、当選回数を重ねながら閣僚経験「ゼロ」の待機組の処遇が注目されている。内閣支持率急落に苦しむ首相は政権浮揚を図るため、閣僚経験者で固める堅実な布陣を優先するとみられる。不祥事などで政権弱体化につながる危険がある待機組には「狭き門」になりそうだが、淡い期待を抱くその胸中は複雑だ。(清宮真一)
自民党で当選が衆院5回以上、参院3回以上(両院在職期間が13年以上を含む)で、閣僚未経験の議員は60人を超える。待機組を閣僚に起用しなければ、党内の不満が噴出する可能性もあり、これまでも一定の処遇をしてきた。
しかし、第3次安倍再改造内閣で当選7回で初入閣した今村雅弘氏は東日本大震災をめぐる失言で復興相を辞任した。衆院当選3回(参院2回)の金田勝年法相は不安定な答弁が野党の標的となった。待機組の入閣が政権のマイナスイメージになる例は少なくない。
それでも人事の季節になると、派閥領(りょう)袖(しゅう)は待機組の入閣を念頭に猟官運動にうごめく。岸田派会長の岸田文雄外相兼防衛相は27日の派閥会合で「遠慮せずポジション取りに精励してもらいたい」と訴え、額賀派会長の額賀福志郎元財務相も記者団に「(派内には)閣僚をこなせる人材がたくさんいる。首相は配慮してほしい」とアピールした。
二階派幹部も「改造で国民の期待に応えるだけではダメだ。待機組60人の期待もある」と注文をつける。合流で第2派閥に躍進した麻生派も数の力を背景に閣僚ポスト増を求める。自粛気味なのは、稲田朋美、豊田真由子、中川俊直各氏ら所属議員の不祥事が続出した細田派ぐらいだ。
そんな中、当の待機組には諦めムードも漂う。「誰だって閣僚になりたい…」と本音を漏らす待機組の一人は「支持率下落の厳しい局面で首相が人選に慎重になるのは仕方ない」とこぼす。別の待機組は「全ては首相の腹一つだ。なるようにしかならない」と過剰な期待を自制しており、待機組には肌寒い「夏」となりそうだ。
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