サムスントップが地裁に出頭 逮捕状の審査始まる 韓国経済への悪影響を懸念する声も

 

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の朴槿恵(パククネ)大統領と友人の崔順実(チェスンシル)被告の疑惑を捜査する「特別検察官」(特検)が、崔被告側への巨額支援をめぐり贈賄などの疑いでサムスングループの経営トップ、李在鎔(イジェヨン)サムスン電子副会長(48)の逮捕状を請求したことを受け、ソウル中央地裁で18日午前、李氏の立ち会いの下、令状発付の可否を判断する審査が始まった。

 特検は、李氏がグループの経営権を引き継ぐための傘下企業間の合併に絡み、朴氏側への「不正な依頼があった」と主張。サムスン側は、支援は強要されもので「見返りを期待して支援したことはない」と反論しており、審査でも棄却を求めるとみられる。

 地裁が最終判断を下すのは、深夜から19日未明になる可能性が高い。

 特検は、朴氏が崔被告と「利益を共有する関係」だったとみて、収賄側として朴氏の立件を目指しており、地裁の判断は、憲法裁判所で進む弾劾審理にも影響しそうだ。

 李氏の逮捕となれば、韓国経済の牽引(けんいん)役である最大財閥トップの「空白」を生むことになり、財界などからは経済へのマイナス影響を懸念し、「司法当局の慎重な判断」を望む声が相次ぎ上がっている。

 李氏は2015年、傘下企業間の合併で、朴氏側から便宜を受ける見返りに、崔被告やドイツで乗馬訓練をする娘側に巨額の支援をした疑いが持たれている。特検は約束分も含め、贈賄額は計約430億ウォン(約41億円)に上るとみている。