TPP成立でGDP13兆円超アップ、80万人の雇用創出との試算も… 発効は絶望的状況

 
出荷作業に取り組むミカン農家の酒井さん=有田市

 TPPと関連法が承認、成立した。協定の内容や発効した場合の影響などについて、Q&Aでまとめた。

 Q TPPとは何か

 A 太平洋の周辺地域で関税の撤廃や投資、知的財産、環境など幅広い分野で共通ルールを作る枠組みだ。参加国は日本に加え米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイの計12カ国。発効すれば世界の国内総生産(GDP)の約4割を占め、人口8億人にのぼる巨大経済圏ができる。

 Q 協定の内容は

 A 最大の関心事は関税の撤廃だ。日本は農林水産品と工業品を合わせ95%の輸入関税を最終的に撤廃する。撤廃時期は品目ごとに異なるが、農業で特に影響が大きいとされた重要5品目も、コメは米国と豪州産に新たな輸入枠を設定、牛・豚肉も関税を引き下げるなど影響が出る。一方、米国向け自動車部品の関税は8割以上が即時撤廃されるなど輸出は恩恵が大きい。

 Q 関税以外の分野は

 A 国有企業への優遇策を撤廃・縮小し、外資企業への規制の緩和を求めるなど、海外から投資をしやすい環境を整える。バイオ医薬品のデータ保護期間を8年と定め、著作権の保護期間を死後50年から70年に延長するといった知的財産のルール統一も図る。このほか、電子商取引や環境保護など幅広い分野で踏み込んだ規定を設けている。

 Q 日本への影響は

 A 政府はGDPを約13兆6千億円押し上げ、79万5千人の新規雇用を生み出すと試算している。懸念される農業への影響も対策を取ればある程度抑えられるとしているが、国内農業が衰退する懸念は残る。

 Q 発効の見通しは

 A 域内のGDP合計が85%を占める6カ国以上が国内の承認手続きを終える必要がある。日本のGDPは2割弱に相当するが、約6割を占める米国はトランプ次期大統領が離脱を表明している。規定を変更しなければ、現状では発効が絶望的な状況だ。