小池百合子知事、業者への補償対策を表明 環境影響評価の長期化懸念

豊洲問題

 東京都の小池百合子知事は4日の定例会見で、築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転延期に伴う具体的な損失を被っている業者に適切な補償を行う方針を表明した。11月中旬に検討委員会を設置して補償の枠組みを決める。また、市場移転に向けた課題と行政手続きの工程表(ロードマップ)も公表。安全性の検証や都の環境影響評価(アセスメント)を踏まえて移転の可否を判断する。アセスメントがやり直しとなれば審査に15カ月程度必要で「延期がかなり長期にわたる」とも述べた。

 検討委は座長に鈴木五十三弁護士が就任し、公認会計士や中小企業診断士ら計7人で構成。小池氏は「業者はリース料の支払いや違約金などが発生して苦労している」と語り、早急に補償対策に取り組むとした。

 また、小池氏は、豊洲市場への移転までに解決すべき課題と、移転の可否を判断する時期を示したロードマップも新たに示した。

 それによると、現在行われている都の専門家会議や市場問題プロジェクトチームで安全性の検証を終えた後、都の審議会に変更を届ける環境アセスメントを実施する。アセスメントが工事の一部変更のみで済む場合は1~2カ月の期間で審査が終了するが、大幅な環境対策が必要とされた場合の審査には、約15カ月かかるとした。

 アセスメントを経て移転可能と判断されれば必要な追加工事を実施。その後、農林水産相に認可申請を行う。通常は1カ月で結論が出て移転・開場に至るという流れだ。このほか、小池氏は、光熱費など豊洲市場の維持管理費にも言及。移転しない場合は当初1日700万円が都の負担とされたが、警備費などを見直し、約500万円と試算し直した。また、開場後の維持管理費は2100万円とした。

 豊洲市場をめぐって小池氏は1日、都の決定に反して土壌汚染対策の「盛り土」をしていなかった問題で、中央卸売市場の市場長経験者ら歴代幹部8人の責任を特定する新たな内部報告書を公表している。