討論会最後の舌戦で“火花” トランプ氏が巻き返し図る 「不法移民に恩赦与えるな」

米大統領選

 【ラスベガス(ネバダ州)=小雲規生】11月8日の米大統領選前の最後となる第3回テレビ討論会が19日、ラスベガスで開かれた。支持率が低下している共和党のドナルド・トランプ候補(70)が民主党のヒラリー・クリントン候補(68)への攻撃姿勢を強め、最終盤の選挙戦での巻き返しを図った。

 討論会では、これまで大きく扱われなかった移民制度改革や銃規制の是非にも焦点が当てられた。

 トランプ氏は移民問題について質問されると「壁が必要だ」と述べ、不法移民流入の取り締まり徹底を主張。さらに、「クリントン氏は不法移民に恩赦を与えようとしている。極めて不公平だ」と述べ、クリントン氏が不法移民に市民権取得の道を開こうとしていることを批判した。クリントン氏は不法移民の米国生まれの子供に米国籍があることを踏まえ、「私は家族を切り離すようなことはしたくない」と反論した。

 銃規制をめぐる討論でクリントン氏は「トランプ氏は全米ライフル協会(NRA)から支援を受けている」とし、銃規制強化に反対するトランプ氏が圧力団体の言いなりになっていると指摘。トランプ氏はこれに対し「NRAからの支持を誇りに思う」と切り返した。

 一方、クリントン氏はロシアによるものとみられるサイバー攻撃がクリントン陣営の情報を流出させていることについて「前例のない出来事だ」と言及。トランプ氏は「プーチンはクリントン氏よりも頭が良い」と述べた。

 9日に行われた前回の討論会では、トランプ氏の女性蔑視発言やビル・クリントン元大統領の不倫問題をめぐり「泥仕合」となった。今回の討論会も序盤こそ落ち着いた展開だったが、互いの発言を遮り合う展開となった。