配偶者控除103万円超も 政府、年収要件緩和案が浮上
専業主婦世帯などの税負担を軽くする「配偶者控除」の見直しについて、103万円以下としている配偶者の年収要件を引き上げる案が政府内で浮上していることが30日分かった。控除を気にせず働く余地が広がれば、女性の就労拡大を後押しできる。適用対象者は今より増えるが、高所得者への増税で財源を賄うことを検討する。
政府はこの案を含めた配偶者控除見直しの複数の案について、12月中旬の平成29年度税制改正の取りまとめに向け、与党と調整を進める。与党の検討作業は例年11月半ばに始まるが、自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は10月中旬から事前の勉強会などを行い、党内の議論を深める。
妻の収入が103万円以下であれば、夫の課税所得から38万円を差し引ける配偶者控除は女性の働き方をゆがめ、経済成長の足かせになっていると問題視され、見直しが検討されている。夫婦であれば働き方を問わずに適用する「夫婦控除」への転換が有力とされ、女性の働き方に中立な案として、自民党では茂木敏充政調会長が意欲を示していた。
だが、見直しは改正前後で税収がほぼ変わらない税収中立が前提だ。対象世帯がすべての夫婦世帯に広がると税収が大幅に減る課題が残る。控除額の縮小や、所得制限が必要になって、増税になる世帯の反発が避けられず、与党内には慎重論も根強い。このため、夫婦控除は中期的な課題と位置付け、当初は配偶者控除の年収要件を引き上げる案が浮上した。
30日の衆院予算委員会で麻生太郎財務相は、家事やPTA活動に取り組む専業主婦を念頭に「配偶者の貢献を評価すべきだとの声もあり、家族のあり方に関する大きな話」と丁寧な議論を求めた。来年1月にも安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が浮上したことも、慎重論に拍車をかける可能性がある。
自民党税調は30日、非公式幹部会(インナー)を開催し、税制改正を取り仕切る幹部9人のうち、金子原二郎参院議員が退き、甘利明前経済再生担当相が加入する人事も決めた。
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