第1R、米識者の判定は? クリントン氏優勢との見方強いが「両者KOできず引き分け」とも

米大統領選

 【ワシントン=小雲規生】米大統領選の第1回候補者討論会について、米メディアでは民主党候補のヒラリー・クリントン氏(68)が豊富な経験を生かして共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)を抑えたとの論評が目立った。ただし一部では、懸念された失態をみせなかったトランプ氏が勝利に等しい引き分けに持ち込んだ、との意見も出ている。

 「クリントン氏はAマイナス、トランプ氏はDマイナス」。共和党系の政治アナリストのマイク・マーフィー氏は、トランプ氏に辛口の評点をつけた。

 討論会でのトランプ氏には、いらだったような表情も目立った。クリントン氏から過去の放言を指摘されるたびに「間違いだ」と口を挟み、ため息をついて首を横に振るしぐさもみせた。オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデビッド・アクセルロッド氏は「トランプ氏は大統領としての能力を示さねばならなかったが、彼にとって悲惨な夜になった」と切り捨てた。

 しかし、トランプ氏が討論会の序盤、製造業の国外流出の問題を怒りのこもった表情で取り上げたことには評価も集まった。失言がなかったことにもトランプ支持層は安心した。米MSNBCテレビの取材に答えたオハイオ州の男性は「クリントン氏には絶対に投票できない」と断言した。

 保守派の論客チャールズ・クラウトハマー氏は「どちらも相手をKOできず、引き分け。だとすれば挑戦者であるトランプ氏の勝ちといえる」としている。