五輪メダル欲しさに中国人漁る韓国卓球界 “裏技”養子縁組制度に批判の声

 

 リオデジャネイロ五輪で各国・地域の代表選手が熱戦を繰り広げるさなか、韓国のソウル家庭裁判所は16日までに、韓国人夫婦による中国国籍の10代の卓球選手との養子縁組申請を却下した。リオ五輪でも中国からの帰化選手が名を連ねたが、養子縁組という“裏技”まで繰り出す韓国卓球界の浅ましさには、韓国国内からも批判の声があがっている。

 韓国の朝鮮日報(電子版)などによると、韓国人夫婦は今年初め、「中国の未成年の卓球選手を養子にし、国際大会に出場させたい」として、19歳の中国人女子選手との養子縁組を申請した。

 それに対し、ソウル家裁は国際大会への出場や、そのための国籍取得を疑問視。「選手は実の両親の下、円満な環境で成長し、中国の名門大学に進学した。原告夫婦とは特に親しい関係でもない。こうした点を考慮すると、養子縁組は選手を幸せにするものとは考えにくい」として申請を退けた。

 夫婦は女子選手自身が韓国国籍の取得を希望していることなどを強調していた。中国の卓球界は選手層が厚い。五輪や世界選手権の舞台に立てるのは一握りの選手だ。そのため、チャンスを求めて外国に帰化する中国人選手が後を絶たないのは事実。それを受け入れる国も少なくない。

 リオ五輪では米国代表選手6人のうち5人が中国出身だった。オーストラリア、オランダ、オーストリアもエースは決まって帰化した中国選手。日本の女子が団体準決勝で戦ったドイツも2人の帰化選手が含まれていた。国籍はドイツでも、名前をカタカナ表記してみても、実際は卓球王国・中国の選手と戦っているのと変わらない。

 ただ、今回の韓国のケースは極めて悪質だ。申請が却下された夫婦以外にも、同様の申請が同じ時期に3件あったという。中には過去に五輪で金メダルを獲得した有名選手も含まれていたと伝えられる。

 ある夫婦は「養子縁組の許可がおりれば、某実業チームに送るという話になっている」と明かしている。つまり、韓国卓球界が裏で糸を引いているということだ。

 朝鮮日報は16日付のコラムで、韓国の実業団チームが親しい知人に養子縁組を依頼していることを暴露した。3年以上居住していることが条件となる一般帰化と違い、未成年者が養子縁組した場合、直ちに特別帰化を申請できる。この制度を悪用し、時間と手間をかけずに、代表チームに選手を送り込もうという魂胆だ。

 申請が許可されれば、実業団チームが選手の衣食住すべての面倒をみる手はずになっていたという。養子とは名ばかり。「偽装」に他ならない。

 将来、生じる可能性がある法的問題を解決すると吹聴するブローカーまで存在するというから、今回の申請は氷山の一角の可能性がある。すでに数件の“実績”があるという。

 2018年平昌冬季五輪を前に、韓国では特別帰化の門戸が広がっているというが、コラムは「いくらなんでも養子とは恥ずかしい。そうまでして取ったメダルを喜ぶ国民はあまりいないだろう。差し迫った事情があっても、常識的な手続きを踏むのが道理だ」と憤りを隠さない。

 申請を却下したソウル家裁の関係者も「他人同士が親子の関係になる養子縁組制度が、本来の趣旨と異なり、五輪でのメダル獲得戦略に利用されるのは好ましくない」とと、韓国卓球界の歪んだモラルを問題視している。(五輪速報班)