業界には、改竄の背景として指摘された重層的な下請けの慣習を「これを機に見直さなければ」との声もあるが、実現できるかは不透明だ。
「官製不況」の記憶
国交省には問題の広がりを抑え、幕引きを図ろうとする姿勢が目立った。昨年12月、施工ルールを明文化する方針を決めたが、建築基準法改正などによる再発防止策の策定には踏み込まなかった。外部機関によるくい打ち工事への立ち会いも「時間とコストが掛かり、マンション価格が上がる」(幹部)と義務付けを見送った。
根底にあるのは、有識者委員会が示した「データ改竄と建築物の安全上の問題とは関連性が低い」との判断だ。改竄があった旭化成建材の物件360のうち、303件の安全性が昨年末までに確認された。国交省幹部は「3月末までには残りも問題ないと分かるはず」と話す。