水面下で日露関係が動き始めている。きっかけは、6月24日夜、安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領にかけた電話だ。約30分の電話会談で、安倍首相は、<プーチン氏が年内に来日する方針を確認した。ウクライナ情勢に関して欧米と歩調をあわせる安倍首相は、ロシアが平和的、外交的な解決に向け、停戦合意の完全履行など建設的な役割を果たすよう要請した>(6月24日「産経ニュース」)
7月になって、クレムリン(ロシア大統領府)から、興味深い情報が流れてきた。ポイントは4点になる。
(1)プーチン氏は、安倍首相が電話をかけてきたことを、日露関係正常化に向けたステップとして高く評価している。安倍首相に対するプーチン氏の個人的信頼感は一層強化された。
(2)会談後、プーチン氏は訪日準備を行うとの方針を確定し、ロシア外務省に対して「日本外務省と協議せよ」と指示した。
(3)クレムリンでも訪日の時期とテーマに関する協議が始まった。関係省庁に対する資料要求も行われている。クレムリンは10月末から11月初頭のプーチン氏訪日を考えているが、具体的日程については日本側の提案を待っている。
(4)訪日では合意文書を作成しなくてはならない。経済的、政治的成果として何が達成されるか、またクリル諸島(北方領土)をめぐる交渉でどのような展望を見いだせるかが、現時点ではまったく明らかになっていない。