欧州連合(EU)ユーロ圏の財務相らは1日、財政危機に陥ったギリシャ向け金融支援協議を5日の国民投票の結果が判明するまで行わないと決めた。ギリシャのチプラス首相が、EU側が支援条件としている財政再建策に依然抵抗していることに反発した。欧州中央銀行(ECB)は1日、ギリシャの銀行の資金繰りを支える緊急支援枠の維持を決めた。
今後の焦点はEUが求める再建策の賛否を問う5日のギリシャの国民投票に移る。反対多数となればEUとの関係悪化は決定的となり、ギリシャはユーロ圏やEUからの離脱を余儀なくされる恐れもある。
チプラス首相は6月30日、EU側の再建策について、観光地など離島に対する付加価値税(日本の消費税に相当)の軽減措置の維持などを条件に受け入れるとの書簡をEU側に提示した。ユーロ圏の財務相は1日、電話で対応を協議し「現時点で提案を聞き置くにとどめる」(財務相会合のデイセルブルム議長)とした。
チプラス首相は再建策でEU側に一定の譲歩姿勢を示した半面、1日のテレビ演説では「国民投票で賛成票を投じるのは、緊縮策継続の共犯者だ」などと国民に訴え、EUへの対立感情をあおった。チプラス氏に対し、EU側の不信感は強まる一方だ。